木刀と真剣の事(旧題:おすすめの木刀)

当流の剣術稽古では防具稽古以外は最初から真剣を用いて稽古する事を推奨しております。

近年の模造居合刀は真剣と見間違うほどよく出来ていますが、当然斬れません、そのため、うっかり刃を触っても深く反省する事無く「ま、良いか」で済ませてしまう初心者が大変多いです。そのような心持でいざ真剣を持った場合、自傷他傷の大怪我に繋がる恐れがあるため、当流の初心者講習では真剣の安全な取り扱いを最初に指導いたします。

剣術は真剣を扱うための技術ですので、操法、形、防具稽古、すべての技は全て真剣で使える前提で稽古しなければ、それは剣術ではなく、木刀術や模造刀術になってしまいます。そういった意味でも、初心者の教育にあっては最初に真剣を知る所から稽古を始めるのが当流の流儀です。

実際に愛刀を手にして稽古をする事で初めて、フィクションによって歪められた日本刀に対する幻想や、巷にあふれるいいかげんな日本刀知識が無くなり、真贋を見る目が養われ、日本刀の真の姿、物体を切断するという現象の本質が見えてくるようになります。

※ 真剣の稽古は危険ですので初心者の方は必ずちゃんとした指導者のいる所で、安全な取り扱いをきちんと学んでから実施してください。(当然、当流以外の場所でも結構です。)

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とはいえ、真剣は高価なため最初から買う事が出来ない方もいらっしゃると思いますので、そういった場合は取り急ぎ稽古用の木刀を入手していただければと思います。(稽古場には貸し出し用の木刀がございますが数に限りがございます。)

木刀は真剣を購入した後も、素振りや打ち込みの稽古で様々利用できますし、なにより真剣は気軽に素振りも出来ないご時世ですので、日々の素振り稽古のためにも木刀は1本は持っておくと良いでしょう。

さて、表題のオススメ木刀ですが、当流では特に木刀の指定はございません。

特定の長さ太さ重さの木刀しか使えないとなれば木刀術・棍棒術としても不完全です。(木刀術・棍棒術についてはまた別の機会に解説いたします。)

落ちている適当な木の棒でも、モップの柄でも、野球のバットでも、何を手に持っても応用を利かせて使えてこそ術と言えます。

そのため当流では素振りと打ち込みに耐えれる丈夫な棒であれば稽古に用いていただいて問題ありません。

適当な棒が手元に無く、取り急ぎ買いたいという事でしたら、剣道形用の普及型木刀をお勧めいたします。

大量生産されているため大変安くコストパフォーマンスに優れています。

↓こちらの木刀は師範代が実際に購入し、十分に稽古に耐えられることを確認しております。


木目・節等で規格外品を黒く染めた更に安い木刀もあります。(こちらは購入して確認しておりませんが、同一ラインで製造されているため強度的に大きな問題はないと思われます。)


木刀用の鍔、鍔止めゴム、鞘もありますのでよろしければご購入ください。特に鍔と鍔止めは100円以下ですのでせっかくですから合わせてご購入ください。




以上、おすすめの木刀紹介でした。

素振りで刀線刃筋が正しく、刀を曲げずに斬れそうな方には、試斬稽古の際に真剣を貸出いたしますが、なるべく早めにご自身の差料(自分の腰に差す刀)を持たれることを重ねて強く推奨いたします。毎日真剣を触らなければ剣を体の一部として使えるようにはなりません。自分の刀を持つことが剣術の入り口になります。(ただし、自宅が狭い場合は真剣ではなく木刀での自主稽古が良いかと思います。)

今の時代、身分制度は無く、誰もが自由に刀を持つことが出来ます。一人でも多くの日本人が、日本刀に対する正しい知識と取り扱いを心得て日本刀を持つ事で、古より継承されてきた、多くのかけがえのない日本刀が後世に残され、また現代の刀匠が新たな日本刀を生み出す原動力にもなります。

日本刀は敗戦の屈辱にあっても、先人が守り抜いた日本人の誇りの欠片です。これを守り後世に伝える事は武に携わる現代武人の誉れではないでしょうか。

日本刀を購入するのに免許はいりません、登録証がある刀はハガキ等でその刀を所管する都道府県教育委員会へ所有者変更届けを出すだけで持つことが出来ます。様式等は刀屋さんでもらえます。

近年はネットオークション等で刀を入手することも出来ますが、今時、戦が無い天下泰平の世とはいえ「心構え」としては自らの命を預ける差料を選ぶのですから、実際に手に取って選ぶのが安全かと思います。(ネットオークションは当たり外れが大きいです。)

刀には相性があります。相性は手に持ってみなくてはわかりません。(武術的にはどのような刀も特性を見極めて使えるようにすべきですが)

また、一見綺麗でも武用に適さない刀は多いです。時代時代、ケースバイケースで日本刀に求められる要件は常に変化してきました。戦場で酷使しても折れない事が求められた刀、褒美や身分証としての役割を求められた刀、銃弾飛び交う近代戦場での白兵戦を求められた刀、美術品としての美しさを求められた刀、畳を両断する性能を求められた刀、何を愛刀とするかは完全に個人の自由ではありますが、武術を嗜む方には丈夫な武用刀をお勧めいたします。

どういうものが武用刀であるかは初めて買う方にはわかりづらいと思いますので、心配な方は購入前に師範又は師範代にぜひご相談ください。

【追記 模造刀について】

真剣を手にするまでの繋ぎとして模造刀(居合刀)を購入される場合は、居合や剣道形用に作られた模造刀をご購入ください。鑑賞やお土産用など強度的に稽古の際に危険と感じられる安全管理上問題があると思われる模造刀は、指導員の判断で使用を禁止させていただく場合がございます。

模造刀の利用を禁止しませんが、稽古にあっては模造刀であっても真剣として取り扱う必要があります。切れない模造刀での稽古に慣れて、安全管理上危険な癖がついてしまう事だけはあってはなりません。模造刀を扱う場合であっても必ず常に真剣に稽古に取り組むようにしてください。

模造刀であっても刺されば死亡事故・大怪我に繋がります、決して安易な気持ちで振り回さないよう心がけてください。

また、刀の抜きつけの際にこじるような癖がある方は模造刀であっても鞘を割る恐れがあるので、上で紹介した木刀とプラスチック鞘で十分に抜きつけの稽古をして上達してから実施されるのがよろしいと思われます。

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